私はまず、明治座での東京公演を観劇しました。序幕で鳴り響いた重厚なオーケストラに劇場全体が包まれ、18世紀の英仏を舞台にした大河ドラマへ引き込まれました。特に印象的だったのは、シドニー・カートン(井上芳雄さん)がアルコールに溺れながらふと見せた救いを求める眼差し。彼がルーシーを思い胸を痛めるたび、その場面に息づいた切なさに、私は胸が締めつけられました。
一方、チャールズ・ダーニー(浦井健治さん)が革命に立ち向かう強い眼差しを見せたとき、それまでの静かな愛の物語が一気に壮絶な波のように揺れ動きました。パリの蜂起シーンでは群衆の動きと照明の赤の絡みがリアルで、まるで会場全体が革命の渦中にいるかのようだったのを感じました。
そして最高潮は、シドニーがダーニーに代わって断頭台へ向かうクライマックス。舞台の闇の中で聖歌が静かに流れ、彼の決意と犠牲の大きさに涙が止まらなくなりました。カーテンコールでは、登場人物と観客の間に深い共感の空気が流れ、本当に観てよかった、と思える充実した夜でした。

