序幕の荘厳なオーケストラ序曲が鳴り響いた瞬間、ヴァンパイアの世界へ一気に引き込まれました。
とりわけ、クロロック伯爵の登場シーンには息をのむ美しさがありました。伯爵が赤いマントを羽織り銀橋に登場する場面では、照明が伯爵のシルエットを浮かび上がらせ、その神秘と威厳に身体が震えました。Wキャストの山口祐一郎と城田優、それぞれ異なる色香とカリスマ性を放ち、どちらも強烈な印象を残しました。
一方、喜劇的要素も随所に盛り込まれており、特に“クコール劇場”と呼ばれる幕間の軽妙なやりとりは親しみやすく、場の雰囲気をほぐす絶妙なアクセントに。歌声もダンスも圧巻で、特に「Liebesduett(愛のデュエット)」ではサラとアルフレートの切ない恋が胸を締めつけ、客席からすすり泣きも聞こえました。
幕切れのナイトシーンでは、観客全員が赤いハンカチを振り、劇場が一体となる感動的演出。欲望と理性を描き切った深いドラマでありながら、ユーモアとエンタメ性も高い濃密な作品でした。

